南米・ブラジルの政府がこの度、子ども・青少年のAI利用を「おもちゃ・仲間・情報推薦・創作」の4類型で整理したガイドを公開しました。学校現場でも、生成AIの使い方に加え、推薦アルゴリズムや相談型AIまで含めた情報モラル教育を見直すヒントになります。
4つのAI接点を整理した点が特徴
ブラジルの人権・市民権省と司法・公安省は、子ども・青少年向けのAI利用ガイドを公表しました。UNESCOの協力を得て作成されたもので、保護者や教育関係者、子ども本人に向けて、安全な利用、プライバシー保護、リスク予防をわかりやすく示しています。
このガイドの大きな特徴は、子どもが接するAIを4つに整理していることです。具体的には、会話するスマート玩具などの「おもちゃとしてのAI」、友人や相談相手のようにふるまう「仲間としてのAI」、SNSや動画配信で情報を選んで見せる「情報を選ぶAI」、文章・画像・動画生成やディープフェイクを含む「創作者としてのAI」です。
生成AIだけでなく推薦アルゴリズムも対象
教育現場ではAIというと生成AIに議論が集中しがちですが、今回の整理はそれだけでは不十分だと示しています。子どもが日常でAIに触れる場面は、レポート作成や画像生成だけではありません。動画のおすすめ表示、SNSのタイムライン、ゲーム内の対話機能など、本人が「AIを使っている」と意識しない接点も多く含まれます。
この視点は、日本の学校にとっても重要です。AI活用の授業設計だけでなく、普段使っているサービスがどのように情報を選び、行動や感情に影響を与えるのかを扱う必要があります。情報モラル教育を「入力の仕方」から「環境の理解」へ広げる発想といえます。
背景にあるのは利用の急拡大
政府発表では、2025年の「TIC Kids Online Brasil」調査として、インターネットを利用する子ども・青少年の65%が生成AIを使った経験があることも紹介されています。利用目的は学習支援にとどまらず、個人的な悩みや感情について会話する用途にも広がっているとされます。
ここで課題になるのは、回答内容の正確性だけではありません。相談相手のように感じられるAIに対して心理的な依存が生じる可能性、個人情報やセンシティブな内容を入力してしまう危険、年齢に不適切な情報や操作的なコンテンツへの接触など、複数の論点が重なります。
ガイドが重視する安全・権利保護
公開されたガイドでは、プライバシー、個人データ保護、メンタルヘルス、年齢確認などを主要テーマとして扱っています。加えて、被害や不安が生じた際の相談・通報先もまとめられており、デジタル上のトラブルを個人で抱え込ませない構成になっています。
これは、AIを便利な道具として教えるだけでなく、子どもの権利保護と安全確保を前提に位置づけている点で示唆的です。学校でも、活用促進とリスク理解を切り分けず、同じ授業や校内ルールの中で両立させる設計が求められます。
💡 先生へのポイント
- AIとの接点を「生成AI」だけでなく「推薦」「対話」「玩具」まで広げて棚卸しする
- 児童生徒に、AIへ入力してよい情報・避けるべき情報を具体例で示す
- 「AIに相談した内容を、最終的に誰に相談し直すか」まで含めて指導する
- 動画やSNSのおすすめ表示を題材に、見えている情報が自動選別されていることを教える
まとめ
ブラジル政府のガイドは、子どものAI利用を4類型で整理し、生成AI以外も含めた包括的な安全教育の必要性を示しました。日本でも、AIを使う技能の指導だけでなく、知らないうちにAIの影響を受ける場面まで含めて学ぶ設計が重要になりそうです。
出典:Governo federal disponibiliza guia com orientações sobre uso de inteligência artificial por crianças e adolescentes — Ministério dos Direitos Humanos e da Cidadania https://www.gov.br/mdh/pt-br/assuntos/noticias/2026/defeso-eleitoral/outubro/governo-federal-disponibiliza-guia-com-orientacoes-sobre-uso-de-inteligencia-artificial-por-criancas-e-adolescentes/




