大学受験における生成AI活用が前年から大きく伸び、特に「自分の解答の添削」での利用が広がっています。学校・塾での指導実態も含め、現場で今すぐ考えたい活用ルールづくりのヒントを整理します。
活用率の伸びが示す受験勉強の変化
2026年に大学へ入学した大学1年生205人を対象にしたHanji株式会社(東京都品川区)の調査で、大学受験に向けた学習や進路相談で生成AIを「頻繁に」または「時々」使った割合は65.3%となり、前年調査の36.6%から大きく増加しました。生成AIが一部の先進的な受験生の道具ではなく、日常的な学習支援ツールとして定着し始めていることがうかがえます。
生成AIを使った受験生のうち、利用頻度は「週の半分程度」が41.8%で最多、「ほぼ毎日」も20.9%にのぼりました。必要なときだけ単発で使うのではなく、継続的に学習サイクルへ組み込まれている点が特徴です。
背景には、質問への即時応答だけでなく、個別の理解度や答案に応じてフィードバックを返せる生成AIの特性があります。特に、家庭学習の時間が長い受験生にとって、先生や講師が常時そばにいない時間を補う存在として活用が進んでいると考えられます。
「解答の添削」がトップ、使い方はより実践的に
活用用途の1位は「自分の書いた解答の添削」で63.4%、2位は「問題の解答解説やヒントの提示」52.2%、3位は「教科書等の内容についての解説の提示」27.6%でした。順位自体は前年と同じですが、1位の添削利用は前年の48.0%から増加しています。
この変化は重要です。生成AIの役割が、知識を教えるだけの“解説機”から、学習者のアウトプットを点検する“対話型の添削相手”へ広がっているためです。英語の記述、数学の途中式、小論文や志望理由書の構成確認など、正解が一つに定まりにくい課題で相性の良さが見えます。
活用科目の上位は英語、数学、小論文でした。いずれも「途中過程」や「表現の妥当性」を見直す必要がある科目であり、生成AIが補助しやすい領域といえます。
指導は追いついているか
一方で、学校や塾で生成AIとの付き合い方について「特になかった」が42.4%、「わからない・覚えていない」が21.5%でした。6割以上が、明確な指導を受けた記憶がないと答えています。
指導があった場合の形式は、学校からの口頭指導が最多で、資料配布や動画共有、外部講師による講演・勉強会が続きました。現場が急速な技術変化に対応しながら、まだ手探りでルール形成を進めている状況が見て取れます。
また、指導内容として最も多かったのは「回答が間違っている場合があることへの注意」43.2%、次いで「生成AIに頼りすぎず、自分で考える力を大切にすること」33.8%でした。これは、活用を全面否定するよりも、誤情報への警戒と主体的学習の維持を重視する方向にあることを示しています。
現場が学ぶべきは「禁止」より「使い分け」
自由記述では、受験生自身が比較的冷静に生成AIを捉えている様子も示されました。添削や発想整理には役立つが、課題の丸投げは避けるべき、AIの回答をうのみにせず自分でも調べるべき、といった声が複数見られています。
この点は学校・塾にとって示唆的です。受験生の実態がすでに「補助ツールとして使い分ける」段階に入っているなら、指導も単純な使用可否ではなく、どの場面で使い、どこから先は自力で考えるのかを具体化する必要があります。たとえば、下書き前のブレインストーミング、記述答案の観点別チェック、誤答分析の補助などは活用余地が大きい一方、提出物の完成文生成や思考過程の代替は慎重であるべきでしょう。
💡 先生へのポイント
- 英語記述・小論文・数学の途中式確認など、「添削補助」での使い方から設計すると導入しやすい
- 生徒には「AIの回答を根拠確認する」手順までセットで指導する
- 使用禁止か自由使用かの二択ではなく、「授業内」「宿題」「出願書類」でルールを分ける
- 口頭注意だけでなく、短いガイド文書や活用例の共有で認識差を減らす
まとめ
今回の調査は、大学受験における生成AI活用が急速に広がり、特に答案添削の場面で実用化が進んでいることを示しました。一方で、学校や塾の指導はまだ発展途上であり、これからは「使わせるか」ではなく「どう使い分けるか」を設計することが、現場の重要課題になりそうです。
出典:【生成AI×教育】大学受験での生成AI活用率、昨年の37%から65%へ。「解答の添削」での活用が拡大 | Hanji株式会社のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000167901.html
出典元:Hanji株式会社 https://hanji.inc/




