新潟県阿賀野市の教育委員会が今回、学校における生成AI活用のガイドラインと児童生徒・保護者向けリーフレットを公表しました。利用ツールの限定から、家庭での具体的な声かけまで示されており、学校と家庭でAI利用ルールをそろえたい教育関係者に参考になる内容です。
学校と家庭をつなぐ、具体性の高い生成AIルール
阿賀野市教育委員会は、学校現場での安全・適正な生成AI活用に向けて、「令和8年度版 生成AIの利活用に向けたガイドライン」と、児童生徒・保護者向けリーフレット「生成AIの利用のルール」を公表しました。特徴は、学校内の方針提示にとどまらず、家庭での見守り方や親子の会話例まで具体化している点です。
生成AIを「禁止」か「自由利用」かの二択で扱うのではなく、主体的な学びや情報活用能力の育成につなげる前提で、使い方の条件と確認の仕方を整理しています。教員にとっては授業や宿題の線引きを考える材料になり、保護者にとっては家庭での関わり方をイメージしやすい構成です。
利用できるAIを3種類に限定
リーフレットでは、学校でも家庭でも使える生成AIを、市が貸与したアカウントで利用する3種類に限定しています。対象はGemini、Gemini Notebook、CanvaのAI機能です。これ以外の生成AIや、個人アカウントでの利用は行わないと明記されています。
教育現場のAIルールは理念先行になりやすい一方、阿賀野市の資料は「何を使ってよいか」を明確に示しているのが実務的です。学校側は説明責任を果たしやすく、保護者側も家庭での利用可否を判断しやすくなります。端末やアカウント管理、ログイン環境、年齢条件の確認まで含めて運用をそろえやすい点は、自治体単位のルール整備として注目できます。
保護者の役割を「監視」ではなく「対話」に置く
今回とくに実践的なのが、保護者向けのメッセージです。資料では、家庭での関わり方を「チェック」より「会話」として示し、「何のために使うの?」「それって本当かな?」「どこまで自分で考えて、どこをAIに手伝ってもらった?」といった声かけ例を掲載しています。
これは、単に不適切利用を見張るのではなく、子ども自身がAIの使い方を言語化し、根拠や判断を説明する機会をつくる考え方です。さらに、使う場所はリビングなど家族の目が届くところにする、利用時間を親子で決める、個人情報や写真の入力について時々話題にする、といった見守りのポイントも整理されています。
学校で指導した内容を家庭で補強しやすく、保護者配布資料としてそのまま活用しやすい構成といえます。
地域情報はAIが誤りやすいと明示
資料では、生成AIは「完璧なロボットではない」と説明し、特に阿賀野市のような地域の細かな話題では誤答が起こりやすいと注意喚起しています。例として、地名、地域行事、施設、人口や各種データなどが挙げられ、公式サイト、学校資料、図書館の本など信頼できる資料で確かめるよう促しています。
この視点は、一般的なAIリテラシー教育を地域学習に接続している点で興味深いところです。全国ニュースや一般知識だけでなく、身近な地域情報ほど検証が必要だと伝えることで、調べ学習や総合的な学習の時間にも直結します。自治体資料を一次情報として扱う姿勢を育てる意味でも、教育的価値の高い指摘です。
作文・自由研究・画像生成の「○と×」が分かりやすい
リーフレットでは、場面別に望ましい使い方と望ましくない使い方を示しています。たとえば読書感想文では、AIに文章をそのまま書かせて提出するのは不可、自分の考えを自分の言葉で書いたうえで、足りない視点や発想のヒントを得るために使うのは可、と整理しています。
同様に、自由研究ではAIの回答を未確認のまま貼り付けるのではなく、まず教科書や図鑑などで調べ、さらに深めるためにAIを使う流れを推奨。画像やデザイン作成でも、他人の作品や人気キャラクターを勝手に読み込ませる行為を避け、自分の構想を広げる補助として使うよう示しています。
教員にとっては評価場面の判断基準を共有しやすく、保護者にとっても「どこまでなら支援で、どこからが代行か」を理解しやすい内容です。
💡 先生へのポイント
- 保護者会や学級通信では、「禁止事項」だけでなく家庭での声かけ例まで共有すると、学校と家庭の足並みがそろいやすくなります。
- 宿題やレポートでは、「AIを使った場合は何に使ったかを書く」欄を設けると、丸写し防止と振り返りに役立ちます。
- 地域調べや総合学習では、AI回答と自治体公式資料を見比べる活動にすると、ファクトチェックを具体的に学べます。
- 利用ツールを限定する場合は、アカウント、学年、家庭利用時の条件までセットで示すと運用しやすくなります。
まとめ
今回の阿賀野市の資料は、生成AI活用の理念だけでなく、使うツール、家庭での関わり方、課題ごとの線引きまで具体化している点が大きな特徴です。学校と家庭が共通の言葉でAI利用を考えるための参考例として、他自治体や学校現場でも応用しやすい内容といえます。
出典:学校における生成AIの活用について/阿賀野市 https://www.city.agano.niigata.jp/kosodate/bamen/kyoiku_gakko/jouhou/16615.html




