流通経済大学がこの度、2027年度の総合型選抜に生成AIの使い方そのものを評価する新方式を導入します。高校・大学の先生にとって、探究や入試指導で何を記録し、どう評価するかを考え直す具体例です。
2027年度入試に「生成AI利用タイプ」新設
流通経済大学(千葉県松戸市、茨城県龍ケ崎市)が2027年度総合型選抜(課題チャレンジ型)に「生成AI利用タイプ」を新設しました。
注目すべきは、生成AIの使用可否ではなく、受験生がどのように問いを立て、AIを使い、結果を吟味し、解決策へつなげたかというプロセスを評価対象にした点です。これは大学入試の話にとどまらず、高校の探究学習やレポート指導の前提を変える可能性があります。
入試で評価されるのは「AIで作った成果物」だけではない
今回の新方式は、単に志望理由書や提出物の作成補助として生成AIを認めるものではありません。受験生自身が志望学科に関連する課題を設定し、生成AIを活用して具体的な解決策を考え、その内容を提案書とプレゼンテーションで示す構成です。さらに、使用したプロンプトまで評価対象に含まれます。
> 本学では「自発的に課題を設定し、生成AIをツールとして使いこなしながら解決策を導き出すプロセスそのもの」を評価対象とする新タイプの入試を導入します。
> 出典:流通経済大学「【流通経済大学】2027年度入試 総合型選抜にて生成AIを活用する『生成AI利用タイプ』を新設」
> https://digitalpr.jp/r/144666
この設計が示すのは、AI時代の学力観の変化です。完成物の出来栄えだけでは、本人の思考や判断を十分に見取りにくくなっています。そこで、課題設定、情報収集、指示の工夫、回答の検証、修正の履歴といった一連の行為を評価する方向へ舵を切ったと読めます。
高校教育へのインパクトは「不正防止」から「活用設計」へ
学校現場ではこれまで、「レポートに生成AIを使うのは不正か」「どこまでが本人の成果か」という議論が先行しがちでした。もちろんルール整備は必要ですが、今回の事例は議論の軸を一段進めています。つまり、AI利用を禁止・容認の二択で捉えるのではなく、どう使ったかを可視化し、評価可能な学習活動へ設計し直す発想です。
高校の探究学習に置き換えると、今後は最終レポートだけでなく、問いの立て方、AIへの質問内容、出力への違和感、再質問や修正の理由を残すことが重要になります。学習ログや振り返りシート、プロンプト記録、比較検討メモなどが、学習成果の一部として位置づく可能性があります。
これは教員の負担増にも見えますが、見方を変えれば評価の焦点を明確にできます。何を調べたかだけでなく、なぜその問いを選んだのか、AIの回答をどう疑ったのかを押さえることで、思考力・判断力・表現力をより具体的に見取れるからです。
大学側が問うのは「AIを使える人」ではなく「AIで考え抜ける人」
今回の入試では、生成AIを使って作成したアプリなどの実演も可能とされています。ただし、本質はツール操作の巧拙だけではありません。重要なのは、AIを使うことで課題理解が深まったか、解決策が現実的になったか、出力を鵜呑みにせず改善できたかという点です。
> 受験生自身が志望学科の学修に関連する課題を設定し、生成AIを活用して考えた具体的な解決策について課題解決提案書を作成、口頭でプレゼンテーションを行います。
> 出典:流通経済大学「【流通経済大学】2027年度入試 総合型選抜にて生成AIを活用する『生成AI利用タイプ』を新設」
> https://digitalpr.jp/r/144666
AI活用が一般化するほど、評価の中心は「使ったかどうか」から「使って何を考えたか」へ移ります。大学がこの視点を入試で明示したことは、高校までの学びに対しても、プロセス重視への転換を促すメッセージといえます。
学校・塾が今から準備したい3つの視点
第一に、探究や小論文指導でプロセス記録を組み込むことです。完成原稿だけでなく、問いの変化やプロンプト改善の履歴を残す課題設計が有効です。
第二に、AIの回答を検証する習慣を評価項目に入れることです。根拠確認、反証探し、別視点での再質問などをルーブリック化すれば、安易なコピペとの差も見えやすくなります。
第三に、口頭試問やプレゼンの比重を高めることです。AI利用が前提になるほど、本人がどこまで理解し、自分の言葉で説明できるかの確認が重要になります。提出物と口頭説明を組み合わせる評価は、今後さらに広がる可能性があります。
💡 先生へのポイント
- 探究課題では「最終成果物+AI活用ログ」をセットで提出させる
- プロンプトそのものより、「なぜその指示にしたか」を説明させる
- AIの回答を疑った箇所、修正した箇所を振り返りに書かせる
- 面談や口頭発表で、本人の理解と判断の深さを確認する
まとめ
今回の大学の新方式は、生成AIの利用可否ではなく、AIを使った問題解決のプロセスを学力として評価する具体例です。高校・塾・大学にとっては、成果物中心の評価から、問いの設定・検証・修正を含む学習設計へ移る転換点として捉える価値があります。
出典:【流通経済大学】2027年度入試 総合型選抜にて生成AIを活用する「生成AI利用タイプ」を新設 | 流通経済大学 https://digitalpr.jp/r/144666




