東京都が今年9月、都民向けのAIリテラシー学習コンテンツ提供を開始しました。AI未経験者でも学べる内容で、学校・塾での初学者指導や情報モラル教育の参考になりそうです。
「便利に使おう編」「安全に使おう編」を公開
東京都は2026年9月18日、都民向けの「AIリテラシー基礎力向上事業」として、初心者向け学習テキストの公開を始めました。公開されたのは「便利に使おう編」と「安全に使おう編」の2種類で、AIを使ったことがない人でも、基本的な仕組みや活用法、注意点を学べる構成です。
教育現場では、生成AIの活用が広がる一方で、「まず何から教えればよいか」「便利さとリスクをどう両立して伝えるか」が課題になりがちです。今回の東京都の教材は、初学者向けに内容が整理されており、授業設計や校内研修のたたき台としても参考にしやすい点が特徴でしょう。
初学者が入りやすい2本立ての構成内容とは
「便利に使おう編」では、AIの基本的な仕組み、身近な利用例、AIとの対話の仕方、日常生活での活用方法などを解説しています。文章作成、情報整理、調べものといった具体例が示されており、単なる概論ではなく「何に使えるのか」をイメージしやすい内容です。
一方の「安全に使おう編」では、AIが誤情報を出す可能性、個人情報の扱い、AIを悪用した詐欺などを扱っています。便利さだけでなく、誤用や過信を避けるための視点をセットで示しているため、情報モラル教育やデジタル・シティズンシップの文脈とも相性がよい内容といえます。
背景にあるのは「使っていない層」の多さ
都はAIへの期待がある一方で、未利用率の高さや、ネット上の情報の真偽確認を特に行わない人が一定数いることを、都民向けの意識調査で確認したとしています。つまり、AI活用の推進には、高度な使いこなし以前に、基礎的な理解と安全な利用習慣の普及が必要だという認識です。
この視点は学校にもそのまま当てはまります。生徒の中には日常的に生成AIへ触れている層がいる一方、教員や保護者を含めて理解度には大きな差があります。全員が同じ前提に立てないからこそ、まずは初歩的な共通教材が重要になります。
学校・塾でどう生かせるか
今回のテキストは都民向けですが、教育現場では次のような使い方が考えられます。
- 情報Iや総合的な探究の時間での導入教材
- 校内研修での「生成AIの基礎理解」共有
- 生徒向けガイダンスでの安全利用ルールづくり
- 保護者会での説明資料づくりの参考
特に有用なのは、「活用」と「安全」が分かれている点です。授業ではまず便利さを体験させ、その後に誤情報や個人情報保護、出力結果の検証の必要性を扱う、といった段階的な設計がしやすくなります。
また、東京都は今後、初心者向け動画や中級者向けのテキスト・動画も順次提供する予定です。基礎から一歩進んだ学習素材が増えれば、教員研修や生徒の発達段階に応じた使い分けもしやすくなるでしょう。
幅広い世代への展開も示唆的
提供方法としては、デジタルサービス局ホームページへの掲載に加え、高齢者スマートフォン教室での活用、東京都公式アプリやYouTube、各種SNSでの発信も予定されています。これは、AIリテラシーを一部の専門人材だけの話にせず、世代横断で底上げしようとする姿勢を示しています。
教育機関にとっても、AIリテラシーは児童生徒だけの課題ではありません。教職員、保護者、地域を含めた理解促進が必要であり、自治体が公開する平易な教材は、その橋渡し役として活用しやすい存在です。
💡 先生へのポイント
- 生成AIの授業は「使い方」だけでなく「確かめ方」までセットで扱う
- 初学者には、文章作成・要約・調べものなど身近な用途から入ると理解しやすい
- 個人情報入力の禁止、出力の事実確認、丸写し防止を最低限のルールとして明示する
- 校内研修では、教員自身が初心者向け教材を体験して共通認識を作ると導入が進めやすい
まとめ
東京都の今回の公開は、AIを「一部の詳しい人の技術」ではなく、誰もが安全に学び始めるための基礎知識として整備しようとする動きです。学校や塾にとっても、AI活用の入口とリスク教育をどう両立するかを考えるうえで、実践的な参考資料になりそうです。
出典:AIを学べるコンテンツの提供を開始 初心者向けテキスト公開|9月|都庁総合ホームページ https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/09/2026091814




