この度の日本企業による大衆調査で、生成AIの直近1か月利用率は1年で38%から60%へ拡大しました。学習支援や文章作成、相談相手としての利用も広がっており、学校・塾の指導設計を見直す材料になります。
利用率6割時代が到来!
株式会社ビデオリサーチ(東京都千代田区)「ACR/ex」の2026年4〜6月速報値によると、12〜69歳の生成AI利用率は直近1か月で60%に達し、2025年の38%から約1.6倍に伸びました。生成AIは多くの人が日常的に触れるツールへ移行しつつあります。
教育現場にとって重要なのは、「使うか使わないか」を議論する段階から、「すでに使っている学習者にどう向き合うか」へ論点が変わっていることです。生徒の家庭学習、受験準備、進路探索の場面で、生成AIが事実上の学習インフラになり始めている可能性があります。
用途は調べ物から相談相手まで拡大
利用目的では、仕事・勉強での「調べ物・情報収集」が約7割と中心でした。一方で、仕事以外でも4割超が情報収集に使っており、さらに学習支援、文章作成、日常の相談や雑談まで用途が広がっています。
この傾向は、生成AIが単なる検索代替ではなく、思考整理や下書き支援、問い返しの相手として使われていることを示します。たとえばレポートの構成案づくり、英作文のたたき台、面接練習、読書感想の論点整理など、学校や塾で従来は教員・講師が担ってきた支援の一部を補完し始めていると考えられます。
学生層でも利用が進む
職業別では「大学生・各種学校生」の利用率が6割超と高く、「中学生・高校生」でも3人に1人が利用していました。これは、高等教育だけでなく中等教育でも生成AIを前提にした情報モラル、課題設計、評価方法の見直しが必要になっていることを示唆します。
特に塾や学校では、宿題や提出物にAIが使われること自体を一律に問題視するより、どの工程なら活用可能で、どこからが本人の思考として求められるのかを明確にする運用が重要です。利用実態が広がるほど、禁止中心のルールは形骸化しやすく、かえって見えない利用を増やすおそれがあります。
利用の広がり方には性年代差も
2025年データでは、利用経験者の男女構成比は男性58.9%、女性41.1%でした。男性は35歳をピークに10代後半から50代まで比較的広く分布し、女性は19歳をピークに10代後半から20代前半で高い傾向がみられました。
教育関係者にとっては、この差を単純な得意不得意で捉えないことが大切です。進学指導、探究学習、キャリア教育、保護者連携の中で、誰がどの目的でAIを使っているのかを把握し、利用経験の差が学習機会の差に直結しないよう設計する必要があります。生成AI活用は、今後のデジタル・ディバイドの新しい論点にもなり得ます。
管理職層の利用増は学校運営にも示唆
有職者では管理職クラスの利用率が5割超、役員クラスでも5割近くに達し、一般社員は4割弱でした。調査では、生成AIが効率化ツールにとどまらず、「考える仕事を支援する存在」として受け入れられ始めていると整理されています。
この見方は学校運営にも当てはまります。授業準備だけでなく、校務文書のたたき台作成、保護者向け案内の整理、会議アジェンダ作成、研修設計、広報文面の下書きなど、教員や管理職の認知負荷を下げる用途は多くあります。現場導入の成否は、個人の工夫よりも、校内で安全に試せるルールと共有知の整備に左右されそうです。
💡 先生へのポイント
- 生徒が「もう使っている」前提で、禁止より利用ルールの明文化を優先する
- 宿題やレポートは、途中メモ・対話履歴・口頭説明を組み合わせて評価する
- 調べ学習では、AIの回答をそのまま採用せず、出典確認と比較検討を必須にする
- 校務では、案内文や会議資料の初稿作成など低リスク業務から試しやすい
- 保護者にも、家庭学習でのAI利用について学校方針を共有しておく
まとめ
生成AIは1年で利用率60%に達し、仕事や学習だけでなく日常の相談相手としても浸透し始めました。学生層にも利用が広がる中、学校や塾には「使わせない設計」ではなく、「どう使い、どう学びとして回収するか」という実務的な設計が求められています。
出典:生成AI利用率6割、1年で1.6倍に増加 「仕事・勉強」から「日常の相談・雑談」まで、生活に浸透 | 株式会社ビデオリサーチ https://digitalpr.jp/r/142888




