この度の保護者調査で、学校で充実させてほしい授業は「お金」が最多となりました。金融教育は学習指導要領に含まれる一方、学校現場では“十分に学べていない”という受け止めも強く、授業設計の見直しに示唆があります。
AI時代に学校で望まれる「お金」の授業!?
株式会社DeltaX(東京都千代田区)運営の塾選びサービス『塾選』が「学校で充実させてほしい授業」について小中高校生の保護者150名を対象に調査したところ、「お金」を67%が選択し、注目度の高い「生成AI」を大きく上回る結果となりました。
家計管理、税金、社会保障、契約といった生活に直結する内容への関心が高く、保護者が学校に求めているのは、最新技術そのものよりも、まず日常生活で困らないための実践知だと読み取れます。
学年で変わる優先テーマ
学年別に「最も充実させてほしい授業」を見ると、小学生では「ネット・SNS」が最多で26%、「お金」が24%、「社会のマナー・モラル」が20%と続きました。一方で中学生は「お金」が24%で最多、高校生では36%まで上昇しています。
この傾向からは、保護者が小学生段階では安全なネット利用や対人面の基礎を重視し、中高生になるにつれて、進学・アルバイト・契約・消費行動など社会接点の増加を見据えて金融リテラシーを優先していることがうかがえます。学校種や学年に応じて、同じ「生活に必要な力」でも重点を変える必要がありそうです。
なぜ今「お金の授業」なのか
保護者の自由回答では、金融教育を求める理由が大きく4つに整理できます。第一に、自身が大人になってから税金や保険、給与明細、家計管理で苦労した経験。第二に、スマホ契約やネット通販、リボ払い、詐欺などの金融・消費者トラブルから子どもを守りたいという思い。第三に、貯金だけでなく投資や資産形成も含めた判断力が必要だという時代認識。第四に、保護者自身が十分に教えられないという不安です。
ここで重要なのは、保護者が求めているのが単なる知識の追加ではない点です。制度や用語を覚えるだけでなく、損をしない、だまされない、将来の選択肢を広げるという“判断力”としての金融教育が期待されています。
学校で学んでいるはずなのに伝わっていない
金融教育はすでに小中高校の学習指導要領に組み込まれています。小学校では買い物や金銭の使い方、中学校では金銭管理や契約、高校では家計管理、社会保障、金融の仕組みなどを家庭科や社会、公民で扱います。
それでも、「お金」を最も充実させてほしいと答えた保護者の約8割が、子どもは学校で十分に学べていないと認識していました。「ほとんど学んでいない」「まったく学んでいない」に加え、「学んでいるが内容や時間が足りない」という回答も目立っています。
このギャップは、学校で扱っていないというより、学びが断片化して見えにくいこと、実生活との接続が弱く成果が伝わりにくいことに原因があるかもしれません。教科横断で実施している内容ほど、家庭には“何をどこまで学んだか”が見えづらくなります。
求められるのは「必修」と「専門家」
授業のあり方については、「一定の学年になったら必修」が57%、「必修にする」が21%で、約8割が必修化を支持しました。関心の高い家庭だけが選択して学ぶのではなく、全員が共通して身につけるべき基礎として捉えられていることがわかります。
また、教えてほしい人は「資格を持つ専門家」が60%で最多でした。学校の先生や起業家・経営者を上回っており、税金、契約、投資、社会保障のように制度改正や専門性の高い内容は、FPなど外部専門家との連携が期待されているといえます。
さらに、約9割が「他の授業や活動の調整をしてでも実施してほしい」と回答しており、金融教育が“余裕があれば追加する内容”ではなく、教育課程の中で優先順位を上げるべきテーマとして見られている点も見逃せません。
実践型にすると学校で動かしやすい
保護者からは、ゲーム課金、ガチャ、サブスク、定期購入、リボ払い、税金、クレジットカード、詐欺対策などを題材にした授業案が挙がりました。いずれも子どもにとって身近で、かつ将来の失敗防止に直結するテーマです。
学校現場で取り入れるなら、用語説明中心よりも、ケーススタディや比較検討型の学習が有効でしょう。たとえば「月3,000円のサブスクを1年間続けたらいくらか」「リボ払いの総支払額はどう増えるか」「アルバイトの給与明細から税や社会保険を読む」といった活動は、家庭科・社会・総合的な学習の時間とも接続しやすい構成です。
生成AIの活用が広がる今こそ、AIで情報を集める力と、集めた情報を生活判断に落とし込む力はセットで育てる必要があります。金融教育は、その具体的な実践領域の一つになりそうです。
💡 先生へのポイント
- 金融教育は「教えているか」より「生活場面で使える形で見えているか」が重要
- 家庭科・社会・公民・総合をまたぐ内容は、年間計画や学年通信で可視化すると保護者の納得感が高まりやすい
- 外部講師を活用する場合は、税金・契約・消費者トラブルなど学校だけでは扱いにくいテーマから始めると導入しやすい
- 小学生はSNS、中高生はお金と、学年に応じた重点設定が有効
まとめ
今回の調査は、保護者が学校に期待する「今学ぶべき内容」が、生成AIよりもまず金融リテラシーにあることを示しました。学校ですでに扱っている内容でも、実生活とのつながりを意識した設計と発信を強めることで、学びの実感は大きく変わりそうです。
出典:学校の授業で充実させてほしいのは「お金」が最多―生成AIを約2.7倍上回る【保護者調査】 | 株式会社DeltaXのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000116808.html




