チェコのビジネス系中等学校に通う生徒416人を対象にした研究は、学校のAI利用ルールについて、生徒がどの程度理解しているかを調べています。著者らは、生成AIの禁止や許可を掲示するだけでなく、課題ごとの許容範囲を具体的に説明する必要性を指摘しています。
調査結果をどう読むか
論文では、数学と自然科学の課題でAI利用に関するルールが分かりにくいと答えた生徒が、それぞれ37.3%、40.9%と報告されています。これは対象4校の生徒の自己申告です。チェコ全体の高校生や、日本の高校生の実態を示す数字ではありません。
また、調査は一時点の回答に基づくため、ルールの不明確さがAI利用や学習成果を引き起こしたと因果関係を断定することもできません。調査対象や学校種が限られる点を踏まえ、結果は各校で何を追加確認すべきかを考える材料として読むのが適切です。
禁止・許可の二択ではルールが伝わらない
学校が「AI使用は禁止」とだけ伝えても、生徒には、アイデア出し、用語の説明、翻訳、文章の推敲、解答の生成のどこまでが禁止なのか伝わりません。教員側も、授業や課題によってAIに認める役割が異なるため、学校全体で一つの短い規則にまとめるのは難しいことがあります。
日本の学校でルールを設計する際は、課題ごとに「使ってよい作業」「使ってはいけない作業」「使った場合に示す情報」を短く示す方法が考えられます。例えば、アイデアを広げる用途は認めても、提出する本文を生成させることは認めない場合、その違いを課題説明に明記し、例を一つ添えると生徒が判断しやすくなります。
生徒が迷う場所を確かめる
規則を配布した後は、理解度を確認する必要があります。教員が想定したルールと生徒の解釈が一致しているか、課題例を使って短いケース問題を行う方法があります。迷いが集中する用途は、禁止語を増やすだけでなく、許可範囲の説明や評価方法を見直す手がかりになります。
この運用は、研究で効果が実証された方法ではなく、調査で示された理解上の課題に対するAIUEO-BASE編集部の提案です。各校では、校内規程と教科の目標に合わせて試行し、質問や誤解が減ったかを確認するとよいでしょう。
先生へのポイント
- 禁止・許可の語だけでなく、課題で認める具体的な作業を示す。
- AI利用を認める場合は、申告方法や出典の書き方も例示する。
- 生徒に課題例を読んでもらい、どこで迷うかを確認する。
- 4校の調査結果を国全体や日本の生徒全体に一般化しない。
まとめ
この研究は、AI利用ルールの有無だけでなく、生徒にどう理解されているかを確かめる必要を示しています。日本の学校では、課題ごとの許可範囲を具体例で示し、生徒の理解を確かめて更新することが実務上の課題になります。
出典:Martin Lnenicka and Petr Coufal, “Navigating AI in STEM: what secondary students actually do with generative AI-driven tools”
https://link.springer.com/article/10.1186/s40594-026-00637-8



