この度の企業調査で、高校生・大学生の英語学習目的の1位は「就職・転職」、さらに47.7%が海外で働くことに前向きでした。生成AIが翻訳を支える時代だからこそ、学校現場では“AIを使いながら伝える力”をどう育てるかが問われています。
AIがあっても英語学習は不要にならない
ラグザス株式会社(大阪府大阪市)が提供するオーストラリア留学支援サービス「Mirai Bridge」は、高校生・大学生300人を対象に、AI時代における英語学習の目的や海外就労に関する意識調査を実施し、AI普及後の英語学習観が見えてきました。
最大のポイントは、英語学習の目的として「就職・転職」が20.7%で最多だったことです。従来の「資格」「留学」中心ではなく、英語を将来の仕事に結びつけて捉える傾向が強まっています。
加えて、「国際的な仕事」が15.0%、「海外旅行」が14.3%、「外国人との交流」が12.7%と続き、英語を実生活やキャリアの選択肢拡大に役立つ力として見る学生像が浮かびます。一方で「特にない」も15.7%あり、目的意識の二極化も読み取れます。
ChatGPTなどの生成AIにより、翻訳や英文作成のハードルは大きく下がりました。それでも、英語力が必要だと考える学生は少なくありません。その理由として最も多かったのは「AIだけでは細かなニュアンスが伝わらない」42.9%、次いで「海外で直接会話したい」36.7%、「就職・転職で役立つ」28.2%でした。
ここから見えるのは、AIが英語学習を代替するのではなく、むしろ学び方を変えているということです。定型的な翻訳や文案作成はAIに任せやすくなった一方で、相手の文化的背景を踏まえた説明、場面に応じた言い換え、対話の中での確認や交渉といった力の価値が相対的に高まっています。
学校教育に引きつければ、文法や語彙の習得だけでなく、AIの出力を批判的に読み、目的に合わせて修正し、相手に伝わる表現へ磨き上げる活動が重要になります。英語教育は「正しく書く」から「AIも活用して適切に伝える」へと重心が移りつつあると言えそうです。
海外就労は一部の進路ではなくなりつつある
将来、海外で働きたいかという問いには、「ぜひ働きたい」14.3%、「機会があれば働きたい」33.3%で、合計47.7%が前向きでした。約2人に1人が海外就労を選択肢として持っている計算です。
注目すべきは、強い希望層だけでなく「機会があれば」と考える層が厚い点です。これは、海外就労が特別な進路ではなく、条件が整えば現実的に検討する進路の一つになっていることを示します。高校・大学にとっては、進路指導を国内就職中心で設計するだけでは不十分になる可能性があります。
特にAI時代は、業務の一部が自動化される一方で、越境的な協働や多文化環境での対話力が差別化要因になりやすいと考えられます。英語を“教科”として終わらせず、探究、キャリア教育、情報活用能力と接続して扱う必要性が高まっています。
学校で進めたい「AI×英語×キャリア」設計
今回の調査結果は、英語教育をAI活用教育と切り離さず設計するヒントを与えます。たとえば、生成AIで英文メールや自己紹介文のたたき台を作り、それを生徒自身が相手・目的・文化差を踏まえて改善する授業は実践しやすい形です。
また、海外の学校・企業・大学に関する情報収集をAIで支援しながら、出典確認や表現の妥当性を検討する活動は、英語力と情報リテラシーを同時に育てられます。英語を学ぶ理由が「就職・転職」に向かっている以上、学校側も履歴書、面接、プレゼン、メール、オンライン会議など、実務に近い言語活動を取り入れる意義が大きいでしょう。
目的が見えにくい生徒に対しても、AIを使った職業調べや海外キャリア事例の比較を通じて、「なぜ英語を学ぶのか」を具体化しやすくなります。英語学習の動機づけを、試験対策だけに依存しない設計が求められます。
💡 先生へのポイント
- 英語を「試験科目」だけでなく「将来の仕事で使うツール」として位置づける
- 生成AIで英文作成を補助しつつ、ニュアンス調整や相手理解は生徒自身が担う課題を入れる
- 進路指導で海外就労や国際的な仕事を“例外”ではなく選択肢として紹介する
- 英語科だけでなく、探究・情報・キャリア教育と横断して扱うと学習目的が明確になりやすい
まとめ
今回の調査では、AI時代の英語学習目的の1位が「就職・転職」で、海外就労に前向きな高校生・大学生も半数弱に達しました。生成AIで翻訳が容易になっても、学校教育で育てるべき価値は薄れず、むしろ「AIを使いこなしながら人に伝える力」として再定義されていると言えます。
出典:AI時代、高校生・大学生の47.7%が「海外で働きたい」、英語学習目的1位は「就職・転職」―Mirai Bridge調べ | ラグザス株式会社のプレスリリース http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000398.000072123.html




